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虫たちの詩2

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はね模様

 数日前より右の耳が聴こえ難くなった。とうとう耳にもきたかと覚悟し、近くの耳鼻咽喉科医院に駆け込んだ。
 「耳垢を調べようね」と、ピンセットで耳の奥を掻き回しはじめる。「イターィ」と声を出し、照れ笑いの顔を医師に向けるが、「耳垢のためではないね、聴力を調べてみようか」と、小部屋に導かれ、「音の聴こえる間だけ、このボタンを押していてね」と言って扉を閉める。
 言われた通りに「ピーピーピー」「ジージージー」など幾つかの異なる音に反応し、ボタンを押したり放したりして、数分間、検査したが、「尾崎さんの耳はちっとも悪くないよ、左は30歳代の、聴こえ難いとおっしゃる右も、歳相応の80歳代の聴力ですよ」と言いながら、カメラを耳奥に挿入し、「この通り化膿していないし、鼓膜もきれいです」との医師の優しい言葉が嬉しく、心を静めてくれる。
 歳を重ねると、耳の機能も衰えて当然だよね、慌てて病院に駆け込んだ悔いがないではないが、俺にはまだまだ若さの残るところがあるんだなーとの自信が蘇える。
    
 病院からの帰宅の途中、道筋にあるサンカラー本店に立ち寄り、31日まで展示していた写真を持ち帰る。
 毎年のことだが、一月には写真同好会「写遊」の新春写真展を開催している。今年も6名が16点の写真を展示し、私も蝶の紋様、人参の花のテントウムシと書斎の中の里山風景の3点を出展していた。
 時々、趣味の盆栽に農民や家畜、それに昆虫などの民芸品を配して窓辺に飾り、部屋の雰囲気を変えていはね模様_a0157478_18233685.jpgるが、そのひとコマを撮ったのが「書斎の中の里山風景」である。参観者の呟き「変わった写真だな」が耳に届く。
 蝶の紋様の主はホシミスジである。数年前から新緑の季節になると、ミスジチョウが現れ、庭の賑わいに参加してくれていた。初めの頃は、近くの里山でよく見かけるコミスジだと思っていたが、その内に、斑紋がコミスジと異なることに気付き、採集して調べると、ホシミスジであった(写真参照)。
 ホシミスジの主食はユキヤナギやコデマリなどである。これらの植物は近隣の各家にも植えてあるので、里山から飛んできたものがわが家の周辺に定着し、毎年発生するようになったようだが、この冬、枯葉に包まる幼虫を多く見かけるので、新緑の季節が待ち遠しい。この小文を書く今も、スイースイー チョンチョンと飛ぶ独特の飛行スタイルが思い浮かぶ。
# by mushinouta2 | 2010-02-01 18:37

反射神経が鈍った

 昨年ほどではないが、この季節でも、畑や庭には雑草がはびこる。「今日は暖かそうだな、畑の草取りでもしようか」と、かみさんに声かけて外に出た。
 ときどき頬を撫でる北西の風は、脂肪を削ぎ落とした身に堪えるが、仕事を始めると、徐々に身体が温まり、草取る動きもなめらかになる。
 若ければ、これから仕事が捗るのだが、そうでないのが年寄りの悲しさだ。
 「オーイ お茶にしようか」、
 先に音を上げたのは私だった。矢車草やナデシコなど、春咲く花、の株間にはびこる雑草と格闘しているかみさんに問いかけ、サッサッと椅子に座り込むが、彼女も心得たもので、「ハイハイ」と言いながら台所に向かった。
 野点とは言えないまでも、日溜りで世間話などしながら啜るお茶の味は格別だ。
 私の尻をたたき、例年より多めに作っている人参を指差し、「明日にでも子供たちに送ってやろうか」と、笑顔を返す。「昨日食べた葱は柔らかくて甘かっただろう、野菜作りはやはり土つくりからだ」と、威張ってみせる。
 野菜の作り方や味についての話は尽きなかったが、辺りに目配りすると、植木鉢置き場の周辺に茂る草が気になった。
 反射神経が鈍った_a0157478_13534325.jpgヨイショの掛け声で腰を上げ、草取りにかかると、鉢の下にゾウリムシの集団や十匹余りの背を丸めたナメクジが越冬しており、なお念入りに調べていると、一匹のカメムシも見つかった。
 越冬しているアオカメムシやヘリカメムシの仲間はたびたび見かけるが、それらより小さく、種名も判らないので、写真を撮っておこうと採集する。
 予定の範囲の草取りは昼までに終わった。久し振りの野良仕事でいくらか疲れたが、気分は爽快で、かみさんが準備した青空の下での昼食は一杯の満足感をくれた。
 夕方、動きの鈍くなったカメムシを苔の上に放して写真を撮った。カメムシは思いのほか元気で、おとなしくしていてくれない。苔の裂け目に潜ろうと動き回り、ピント合わせに苦労した。歳を取り、反射神経が鈍くなったのであろうか、もどかしいほどピントが定まらない。夢中でカメラを操っているうちに、カメムシは、「爺さんアバヨ」と姿を消してしまった。
# by mushinouta2 | 2010-01-25 14:27

この冬 初めての虫

 静かな朝を迎えた。太陽の昇るのを待って庭に立つと、数日続いた強い風の悪戯で、散乱した落ち葉が庭の景観を醜くしていた。
 この冬 初めての虫_a0157478_1922669.gif庭の手入れは、私の楽しみの一つだが、このところの天候はそれを拒むものであったので、温かくなるのを待ちかねて、箒を手に、落ち葉の片付けに取り掛かった。
 集めた落ち葉を堆積場に運び終え、日溜りに据えた椅子に腰を落として一息入れていると、番いのヒヨドリがやって来て、紅く熟したクロガネモチの実を啄ばみ始めた。
 鳥たちの飛び立つのを機に腰を上げ、綺麗になった庭を観て回る途中、冬草(アリッサム)の花に小さいアブを見かけた。ヒラタアブの仲間のようだ。アブは、まだまだ気温が低いので、花に張り付くように止まり、太陽で身体を温めながら蜜を舐めていた。この冬,始めて見る虫の飛ぶ姿を見ようと、立ち止まって観ていたが、そんな気配もなく時が進むので、諦めてその場を離れた。
 
# by mushinouta2 | 2010-01-18 14:48

散歩道に雪が舞う

 ご飯ですよー
 昨年末に集まった子供や孫たちが4日に帰り かみさんと2人の静かな生活に戻ったためか 今朝は寝過ごしたようだが 何時もの調子で呼びかけるかみさんの声に後押しされ 早々と寝床を抜け出して食卓に足を運んだ
 散歩道に雪が舞う_a0157478_18404569.jpg 今朝は この季節にお決まりの雑煮(讃岐名物のあん餅雑煮)だったが 空きっ腹は 小さく噛み切ったあん餅を 待っていましたと受け入れた
 無精ひげを剃り落とし スッキリした気分で 1年半前から緑内障の治療のために通院している国立善通寺病院に愛車を走らせた 
 予約カードを提出して待つほどに 看護師さんに診察室に呼び込まれ 眼圧を測定した その後 しばらく待たされるのが常だが 若い看護師さんの動き 視力や眼圧を測定されている患者の表情などを見ていると その時間は苦も無く過ぎてしまう
 次の方・・・ と名前を呼ばれ 担当医の前に腰を落とすと 眼圧は 左右ともに9です と言いながら眼球を診察し 症状は良好で 安定していますね と笑顔で説明してくれた
 目の調子が良かったことに気をよくし 午後の散歩には 長めのコースを選んだ 寒さに備え 重装備で出かけたものの 北西の風は顔を打ち 耳を刺し 更には 小雪も舞うほど天候は身にこたえたが 我慢強く歩き続け 歩みの中で この寒さを虫たちはどの様に耐えているだろうかとの想像を楽しんだ
 道程の中ほどに八幡神社がある 参拝を終え 森に分け入って 落ち葉に潜む虫を調べてみたが この作業は 寒さに負けてすぐ止めたので 虫の姿を観ることができなかった 
 雪は降り続いていた 歩幅うを広げて歩いたためか 家に着くころには 全身が汗ばんでいた 乾いたタオルで身体を拭きながら かみさんに 暖かい日に越冬している虫を観に行こうか と呟いた  
# by mushinouta2 | 2010-01-07 19:59

明けましておめでとうございます

 明けましておめでとうございます 
 今年は 気の向くままに投稿したいと思いますので 時々覗いて下さいますようお願いします
明けましておめでとうございます_a0157478_13473898.jpg

2009年までのブログ「虫たちの詩」も、引き続きご覧になれます。
# by mushinouta2 | 2010-01-03 12:50
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日々の出来事を綴っています


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